わが師・わが友―戴恩記―

 岡野弘彦先生の『万葉集』の講義は、公開講座で3年ほど受講しましたが、絶品でした。味わい深く、古典の世界にいざなうものでした。ラジオでのご講義もよいですが、実際の講義も、さらによいですね。

 白石まりも先生は、教職の必修の一般教養科目の体育の授業で、お世話になりました。ストレッチに多くの時間をかけていた記憶があります。温厚な先生でした。

 山崎卓志先生には、英語を教わりました。授業時は熱血漢で、普段は、面白い先生でした。親身になってくださる先生で、卒業後も定年するまで、年賀状のやりとりが続いていました。

 尾崎充昭先生には、倫理を教わりました。ただ、そのころの私は、東洋倫理思想に夢中で、西洋的なものには興味がなく、あまり授業内容は覚えていません。むしろ、卒業後に、参考文献を教わったり、お話をさせていただいたりしながら、お世話になった感じです。

 杉本圭三郎先生は、当時、定年しておられましたが、通信指導をしてくださり、非常に有益なコメントを与えてくださいました。今でも、そのときの添削は印象に残っています。軍記物語と説話が課題でしたが、楽しくレポートも作成できました。

 篠崎晃一先生には、通信指導でお世話になりました。丁寧なコメントで、日本語学の方言に興味を持つきっかけになりました。

 川上蓁先生のご講義は、非常に面白い内容で、はじめて音声学の面白さを感じた内容でした。恩人は、金田一京助・春彦の両先生だとおっしゃっておられました。 金田一春彦先生の「アスペクト」の論文は、川上先生が清書したと、おっしゃっておられました。最初は、アスペクトの研究をしようと思っていたと述べておられました。 毎年、ご講義の最終日には、学生を連れて帝国ホテルで食事をとるのが恒例でした。

 衛藤信之先生には、日本メンタルヘルス協会で教わりました。実践的な心理学とは何か、ということを体験させてくれました。この授業で、実践の大切さを学ぶことができました。ちょうどこのころ、人生の岐路に立たされていましたので、心が救われた思いがしました。

 田辺重右衛門先生からは、高校のときに、現代文・古文・漢文を教わりました。授業は、その良さがわかるには、生徒側がきちんと勉強していないと難しい内容でした。今、受けるとちょうどよいかもしれません。

 今泉壽枝先生は、高校のときの恩師です。今泉先生は、國學院大學で国語学コースで主に古典が専門なのですが、なぜか現代文で教わりました。指示語や接続語に着目していく感じのもので、内容と語学のバランスのとれた授業でした。

 教育実習のときの指導教諭が、横田眞紀子先生でした。非常に厳しい指導でした。その中で得たものは、生徒に向き合うということでした。1回の授業で、いかに生徒をみるかということを学びました。しかし、高校の現場での適応に自信を喪失し、結果的に高校の専任の教員にならない決意をしました。そのきっかけを与えてくれました。